注文したくなる英語メニュー VS. そうじゃない英語メニュー→ この2つの大きな差とは?
こんにちは、(株)華ひらくで飲食店英語の講師&インバウンド対策コンサルタントをしています、内木美樹です。
私は過去の記事で、
「英語のメニューを作るなら、英語を話せる知人ではなく、日本語と英語を母国語としている人がいる翻訳会社にお願いしましょう」
と何度もお伝えしてきました。
「英語が話せる人」に英語メニューの作成を依頼するのはとても危険です。
なぜなら、英語を母国語としていない人の英語は大抵、間違っています。
(ご多分にもれず、私も英語を母国語としていない1人です。)
「ちょっとくらい間違っていても、伝わればいいじゃない」
と思われるかもしれません。
確かに、口頭で話す分には、伝わればOKだと私も思います。
しかし、それがメニューとなると、伝わればOKではありません。
下手したら、みなさんのお店に泥を塗る行為になってしまう可能性もあるのです。
ここで、「もし自分が海外旅行に行ったら」を考えていただきたいと思います。
間違った英語のメニューがお店の顔に泥を塗る理由
例えば、みなさんがNYに旅行に行き、雰囲気の良い、少々高級な日本食屋に入ったとします。
内装も和の空気が十分漂っていて、料理もとてもおいしそう。
「これは期待できるんじゃない♪」とワクワクします。
とそこで、担当のウエイトレスから日本語メニューを渡されました。
「どれどれ?」と見てみると…
おや?「ビール」が「ピール」になっている…。
おやおや?「8時間煮込んだソース」が「8時間煮込んだンース」って書いてある…。
むむ?「〆のお茶漬け」が「メのお茶漬け」って…。
などなど、メニューには誤字がたくさん。。。
少しなら見過ごせると思います。
しかし、このような間違いがメニューのあちこちにあると、期待をしていたお店なだけにがっかりしませんか?
一気にお店が安っぽく見えてしまいますよね?
それは、みなさんのお店にやってくる海外の方も同じように思っています。
メニューに少し手を抜いたばかりに、自分で自分のお店の顔に泥を塗ってしまう事になってしまうのです。
そうならない為にも、(特にみなさんのお店が高級店であればなおさら)英語のメニューは間違いがないものを作るようにしましょう。
…とは言え、「じゃあ翻訳会社に依頼して早速英語のメニューを作ろう」とはいかない場合だってありますよね。
ですのでここでは、お金をかけずに「いっぱい注文しちゃおう!」「よし、もっと頼もう!」とお客様に思ってもらえる英語のメニューの作り方をお伝えします。
注文したくなる英語と注文されないメニューの違い
まずご注意いただきたいのは、英語メニューは日本語メニューを英語に翻訳するだけではダメという事です。
もちろん、日本語メニューに海外のお客様が知りたい情報が十分に記載されているのであればいいのですが、そのようなメニューをすでに作っているお店はかなり稀ですので、まずは日本語メニューから見直す必要があります。
注文されない英語メニューとは?
既存の日本語メニューをそのまま英訳してしまった悪い例がこちら。↓
(お好み焼き屋さんの場合)
みなさんは、このメニューがなぜダメか、わかりますか?
その理由がこちらです。
- 料理の写真がない
- メインの食材しか記載されていない
- どんな海鮮なのか?
- 当店スペシャルって何?
- ミックスって何をミックス?
- 広島風って何?
などなど、ツッコミどころが満載ですよね。
これでは多くのご注文はいただけません。
まず、料理の写真がないと、”OKONOMIYAKI” を知らない方にはどういうものか全く伝わりませんよね。
しかも、「豚」「烏賊」のようにメインの食材しかないと、お好み焼きを知らない方は「豚しか入っていない」「烏賊しか入っていない」と勘違いされてしまいます。
「いやいや、お好み焼きなんだからキャベツ入っているに決まってるじゃん!」
というのはあくまでも日本人の感覚。
海外の方はこの「当たり前の感覚」がない、という事を常に忘れてはいけません。
そして、「海鮮」にも色々ありますよね。
海老、烏賊、蟹など、アレルギーをお持ちの方も多いです。
なので、何の海鮮なのかが分からないと注文できないという方は多いはずです。
そして、「当店スペシャル」ってつまり何が入っているの?
「ミックス」って何と何をミックス?
「広島風」ってあの HIROSHIMA !?(「広島」自体の認知度は高い)
などなど、注文されないメニューには謎がたくさんありすぎて、注文するにも出来ないのです。
これが、日本語メニューをそのまま英訳しただけの、悪い例です。
思わず注文したくなる英語メニューとは?
では、思わず注文したくなる(注文がしやすい)英語メニューとはどのようなものなのでしょうか?
それがこちらです。↓
こちらのメニューが注文されやすい理由はこの通り。
- 料理の写真がある
- 全ての食材あり
- 調理法あり
- 味付けあり
- ムスリムやベジタリアン向けのマークあり
- おすすめあり
海外のお客様にお話を伺うと、「写真さえあればどんな料理か大抵分かるから、写真は必ずいれてほしい」という声が非常に多いです。
どの料理も私たち日本人には写真がなくても想像が出来るものばかりですが、海外の方々には馴染みのないものばかりです。
なので、写真はマスト中のマストと言えます。
次は食材。
日本では全然メジャーではありませんが、世界ではムスリム(イスラム教徒)やベジタリアンのように、ある一定の食材を口にしない方の人口が増えています。
例えばムスリム人口。
2010年の時点で、世界の人口の1/4がムスリムと言われていますが、その数は今後も増え続けると言われています。
つまり、世界では4人に1人が豚とお酒を口にしない方々なのです。
また、イギリスなどの欧米ではベジタリアンが流行していて、今やマクドナルドやバーガーキングといったハンバーガーチェーン店ですら、ベジタリアン用のメニューを出しているほどです。(日本では未対応)
その方々にとって、「何の食材が入っているか」は非常に大切なことなので、使っている食材が分かるものは注文出来、分からないものは注文出来ない、という明確な差が生まれます。
また、どのような調理法なのか、というのもその料理を把握する上で大切です。
最低でも、「生なのか?」「火が通っているのか?」。
出来るなら、蒸しているのか、焼いているのか、煮ているのかなどが記載できると、写真を見ただけではよく分からない料理も大体想像出来るようになります。
そして、味付けに関する情報もあるといいですね。
醤油味なのか、塩味なのか、味噌味なのか…。
ここまで把握出来れば、食べてみて「思っていたのと違った!」なんてことにはならないはず。
さらに、地味に大切なのがマークの存在です。
上のメニューには赤い背景の白文字には “MF”、緑色の背景に白文字には “VF” と書いてありますが、これは “Muslim-Friendly” と “Vegetarian-Friendly” の略です。
“Muslim-Friendly” とは、イスラム教徒でも食べられる料理。
つまり、豚とアルコールが入っていないお料理です。
そして、 “Vegetarian-Friendly” はベジタリアンの方でも食べられる料理。
つまり、動物性の食材(肉、魚、牛乳、チーズ、卵、はちみつ等)を使っていないお料理です。
このようなマークがあるだけで、ムスリムやベジタリアン方々はいちいち全ての食材を読まずとも、自分が食べられるお料理を簡単に見つけることができます。
そうすれば、「これとこれとこれ!」という様に、ポンポンと注文しやすくなるのです。
最後はお店のおすすめです。
弊社は以前に海外の方に街頭インタビューを行い、「日本の店員さんがおすすめを教えてくれたら、ありがたいですか?そうでもないですか?」と質問したところ、88%の外国人は「ありがたいよ!何がおいしいか分からないから、是非おすすめ料理を教えて欲しい!」と答えていました。
「『これがおいしいですよ』『個人的にはこれが好きです』って教えてもらったら、間違いなくその料理は注文する!」
という方も大勢いました。
それくらい、海外のお客様は「おすすめ」を知りたがっています。
注文されやすい英語のメニューを作る方法
さて、ここまで読まれた方は、思わず注文したくなる英語メニューにどのような情報を載せればいいのか、お分かりいただけたと思います。
ただ、ここまででご紹介したすべての情報を掲載するにはそれなりの英語力が必要になってきますので、英語が苦手な方でも、注文したくなるメニューが作れる方法をお伝えします。
必要な情報はこちらの4つです。↓
- 料理の写真
- 全ての食材
- ムスリムやベジタリアン向けのマーク
- お店のおすすめマーク
お料理の写真は絶対に欠かせない!
まずはお写真です。
プロのカメラマンが撮るようなお写真は素人には無理ですが、最近はスマホのカメラの精度もだいぶ上がっているので、お手持ちのスマホで画質の綺麗な写真を撮りましょう。
その際におすすめなのが、 Foodie という無料アプリです。
Foodie は料理の写真を撮るために開発されたアプリなのですが、私の経験上、もともとスマホに入っているカメラよりも Foodie の方がキレイに料理のお写真が撮れます。
色見も明るさも多くの種類から選べますので、きっとみなさんのお料理もおいしそうに撮影できるはず☆彡
是非試してみてください。
全ての食材を箇条書きで入れよう
味付けや調理方法を入れると語順が大切になってくるので、ネイティブ並みの英語知識が求められるのですが、食材を箇条書きする程度であれば、ネットさえあれば誰でもできます!
例えば、パプリカを英語で何て言うか分からない時は、「パプリカ 英語」で Google で検索しましょう。
そうすると、1番上にこのように Google 翻訳が出てきます。
しかし、 Google 翻訳の精度はまだそこまで高くはないので、ここを信用するのは危険です。
事実、パプリカは英語で “Paprika” と言いますが、これは粉のパプリカという意味で、野菜のパプリカではありません。
なので、注意が必要なのです。
そこで、もう少し下にいっていただくと、このように色々なページが出てきます。
このように表示されるページを最低でも2つ見て、2つ共で同じことが書いてあれば、それを信用しましょう。
もし2つのページで違うことを言っていたら、もっと多くのページを確認しましょう。(ものによってはエリアで呼び名が違う食材があるのです。)
ちなみに、個人的にはよくDMM英会話を使っています♪
また、既に英語を知っている単語であったとしても、スペルを間違って覚えている可能性もあります。
なので、どんな食材にせよ、必ずネットで確認するようにしましょう。
他店と差をつけるなら、ベジタリアン&ムスリムマークは必須!
私のベジタリアンの友人はマークの重要性についてこのように言っていました。
「ベジタリアン向けのマークがあるのとないのでは注文のしやすさが全然違う。マークがあれば、ひとめでどれが食べられるのかが分かるから簡単に注文出来るけど、マークがないとメニューをしっかり読まないといけないし、メニューに食材が書いてなければもうアウトだよね。注文のしようがない」
日本にもベジタリアンやムスリム人口は少しずつ増えていると思いますが、その方々向けに対応をしている飲食店は、まだ1%にも至っていないのではないでしょうか?
だからこそチャンスです!
他店が始めてからようやく腰を上げるのではなく、他店が始める前に取り組み、より早い段階でベジタリアンやムスリムの方々にアプローチしましょう!
そうすれば、他店よりも早く多くの口コミをいただけ、その輪はどんんどん広がって、あっという間に人気店になるチャンスが広がります。
ベジタリアン&ムスリムマークとは?
さて、ここからは具体的に何を行えばいいのかをご紹介します。
やることは簡単で、既存のメニューの中から、動物性植物(肉・魚・卵・乳製品など)を使用していないお料理にベジタリアンマークを、豚とアルコールを使用していないお料理にムスリムマークをはるだけです。
そして、ベジタリアンマークやムスリムマークは御社独自のもので構いません。
上のメニューのように、ベジタリアンマークを「VF」と記載してもいいですし、「V」だけでもOKです。
ちなみに、ヨーロッパでは、左のベジタリアンマークが主流なようです。
そして大事なのは、「VF= Vegetarian-Friendly」や「V= Vegetarian」の様に、これらのマークがどういう意味かをメニューの隅にしっかりと記載すること。
そうしないと、「この V ってどういう意味なんだろうね?」となりかねませんから。
ムスリムマークも同様に、御社独自のマークを作って、その意味をメニューに記載しましょう。
それと、絶対に忘れてはいけないことがもう1つ。
例えば、出汁にカツオを使っていたり醤油にお酒が入っているという事は多々ありますよね?
「微量だしどうせ分からないだろうから、書かなくてもいいか」
なんて考えないでください。
このような事が後々に大きなトラブルになる可能性は十分にあります。
ですので、メインの食材には動物性の物や豚、お酒が含まれていないとしても、出汁や醤油にこのような物が含まれているのであれば、必ずメニューにこのように記載しましょう。
“WE USE ●● IN OUR ▲▲.”
(▲▲の中に●●を使用しています)
例えば、「お醤油の中にはお酒が入っています」であればこのような記載になります。
WE USE ALCOHOL IN OUR SOY SAUCE.
「出汁の中には魚が含まれています」であればこちらです。
WE USE FISH IN OUR BROTH.
これらをきちんと記載した上で、魚が含まれている出汁を使った料理を注文するのかどうかを、お客様に選んでいただくのです。
そうすればみなさんがトラブルに巻き込まれることはありませんので、お客様に安心を与えるだけではなく、みなさん自身を守るという意味でも、このような文言はメニューの全ページに記載するようにしましょう。
お客様が一番求めているのがコレ!「おすすめマーク」
最後に必ず入れていただきたいのが、「おすすめマーク」です。
なぜなら、海外のお客様が求めているのは店員であるみなさんとの会話であり、お店のお料理について誰よりも詳しい皆さんからのおすすめです。
ですので、厳密に言えばマークではなく、皆さんの口から直接聞ける「これがおいしいですよ!」「今日はこちらがおすすめです!」という一言なのですが、それが難しければ、マークを設置するのでOKです。
おすすめマークも特にコレ!というものはないので、皆さんオリジナルのマークで大丈夫です。
上のメニューのように☆マークを設置し、メニューの端に「☆=Recommendation」と記載するも良し、マークではなく、料理に直接このように記載するも良しです。
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大切なのは、方法が何であれとにかくおすすめをお伝えする事。
なので、とりあえず今すぐやってみましょう!
そして、変更した方がいい点が出てきたら、その都度柔軟に対応すればOKなのです。
以上、今日のレッスンでした!
華ひらくは飲食店専門の接客英会話コンサルタントです。インバウンド(訪日外国人や訪日外国人旅行者)が増える中、外国人に対しての接客英会話は、広く求められております。当社の代表である内木美樹は、アメリカ・ネバダ州の国際ホテル「Peppermill Resort Hotel」内のレストランで、日本人が誰もいない環境の中、マネージャーから「No. 1 food server」と称された実績があります。
その知識と経験を活かし、飲食店の方々に出張型の英会話レッスンを行っております。飲食店に特化したレッスン内容になりますので、多くの飲食店様からご好評いただいております。レッスンは基礎レッスンから行いますので、英語がチンプンカンプンという初心者の方でも安心して受講してください。
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written by 内木 美樹(飲食店インバウンド専門家/飲食店専門の英語講師)