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2020年8月17日
アメリカのウエイトレスのお給料事情(仕組みを公開)

目次
チップっていくら貰えるの?時給は?米国サーバーのお給料
Hi, food servers!
ラスベガス近くのカジノホテルでウエイトレスとして働いていまして、今は飲食店専門に接客英会話レッスンと、飲食店インバウンド専門家をしていますMIKIです。
さて、今日は私史上初の下世話なお話をしたいと思います。
それがこちら。
アメリカのウエイトレスのお給料事情。
一度でもアメリカに行かれたことのある方は、アメリカの飲食店ではチップが発生することをご存知かと思いますが、1晩(8時間)働くとチップっていくらくらい稼げると思いますか?
あれって、サーバー(ウエイターとウエイトレスのこと)が全部いただけるのでしょうか?
といった、アメリカの飲食店のお給料にまつわるお話をご紹介しようと思います。
チップについての基本情報
まずは簡単にチップについての基本情報からです。
日本ではどこでもチップを支払う必要がないので、私たち日本人には馴染みはありませんが、アメリカでは飲食店に限らず、ホテルやタクシーなど、「個別に対応してくれるサービス」に対しての謝礼を払う文化があります。
例えば日本の飲食店の場合、どの店員さんに注文を取ってもらっても問題ありませんよね?
しかし、アメリカの飲食店はテーブル担当制です。役割が明確に決まっています。
「今日こちらのテーブルを担当させていただく〇〇です」と最初にあいさつに来るのが皆さんの担当サーバーなので、すべての注文、質問、依頼はその担当にお願いします。
そして、その担当サーバーへの謝礼、それがチップです。
では、いくら払えばいいのか?
一般的に言われているのが、合計金額の15~20%です。
なので、みなさんが1万円分のお食事をされた場合、お食事代が1万円と、それとは別でサーバーへのチップが約2,000円で、計12,000円がお支払金額となります。
(ファストフード店やビュッフェは例外。)
ただ、チップは謝礼でありみなさんの気持ちなので、担当してくれたサーバーが特別良くなければ、そんなに払わなくても全く問題ありません。
※ここだけの話、私が担当させていただいたお客様からのチップが1セント(約1円)というのも経験したことがあります。(悲報)
ただ、日本人はルールをきっちり守る国民なので、アメリカの飲食店では「日本人はチップをちゃんと払ってくれる人種」で知られていました。
私はアメリカと日本の飲食店でしか働いたことがないので、他の国のチップ事情は詳しくありませんが、他国出身の方々にお話を聞いても、アメリカほどチップの割合が高い国はそうないっぽいです。
(10%前後や、高級飲食店のみチップを支払うなど、国や地域によって様々なのです。その分、時給が高いのでしょうね。)
そういう意味でも、アメリカはチップ大国と言えるのではないでしょうか。
チップを多くいただけるお店とは?
もっと言うと、チップで稼げるお店とは?
これは高級店と団体客の多いお店です。
理由は簡単で、高級店も団体客も、合計金額が多くなる分、単純計算でいただけるチップの金額も増えるからです。
ただ、その分カジュアル店に比べて回転率は下がりますし、知識やスキル(ワインの知識やホスピタリティの学士等)が求められることもあるので、当時の私(まだ英語に自信がない22歳)にはハードルが高かったです。
ちなみに、個人的にはビュッフェのサーバーが最もラクして稼げるのでは?と思っています。
ビュッフェなので、お料理のご注文をとる必要はありません。
お飲み物のご注文を取り、こまめにドリンクの確認をしながら、空いているお皿を下げるという、通常の飲食店と比較して作業量は格段に下がります。
その分、ビュッフェでいただけるチップの割合は合計金額の10%前後と低くはなりますが、作業量や責任を加味すると、ビュッフェで働くのが一番稼げるのでは?と勝手に推測しています。
私が1日で最も稼いだチップの額
結論から言いますと、1日(8時間労働)で220~230ドルくらいです。(日本円で24,000円前後。)
その日は週末の夜でカジノもお店も相当にぎわっていて、お店は250席以上ある大型店だったにも関わらず、常にウェイテイングがかかっていました。
当然、私が担当していた席にも次から次へとお客様がお見えになり、とっても忙しかった夜でした。
そして、サーバーはチップとは別で、お店からお給料もいただけるので、最終的な収入はチップ+お給料となります。
ちなみに、私が働いていたお店の時給は4.50ドルでした。(日本円で480円くらい。)
なので、230ドル+時給(4.50ドル×8時間)で、その日の私の収入は約266ドル(約28,000円)でした。
日給が28,000円って、なかなか良いですよね。
日本の飲食店でも働いていた経験はありますが、どちらが稼げるかと聞かれれば、断然アメリカですね。
(ここだけの話、私が住んでいた街は大都会ではなかったので、物価は全然高くありませんでした。なので、当時は使っても使ってもお金が余るという生活を送れていました。戻りたい…。)
とは言え、こちらはあくまでもいただいた最高額のチップで、決して平均ではありません。
日によっては全然お客様がお見えにならず、「これなら私、早退してもいいですか~?」みたいな日もありましたし(実際に早退できる)、8時間働いたものの、チップの総額は80ドルなんて日もありました。(そうなると、日給は1万円ちょい。)
チップっていわゆる歩合制なので、収入の差も激しかったです。
一人のお客様からいただいた驚きのチップ額
230ドルはあくまでも1日にいただいたチップ最高額なのですが、私の記憶にとても残っているのが、1人のお客様からいただいた最高額。
50~60代の、キャリアウーマン風な品のある女性だったのですが、その方は朝にご来店され、アメリカでは定番の朝食メニューのオートミールとオレンジジュースをご注文されました。
この2つの合計金額はせいぜい8ドルくらいです。
にも関わらず、置いて行かれたお金は100ドル札。
つまり、8ドルのお会計に対して、92ドルが私へのチップになります。
その方はテーブルに100ドル札を置いてそのままお店を出られてしまったので、私が気づいた時にはすでに退店済みで追いかけることもできず…。
なのでありがたく頂戴しましたが、なぜあんなに大金をいただけたのかは未だに謎です。
100ドル札をいただける程の素晴らしい接客が提供できたとは思っていないのですが…。
考えられる理由としては、以下の3つかと思いますが、真実はその方のみぞ知る。
- 10ドル札と間違えて置いて行かれた
- 私の接客が素晴らしかった
- 普段からチップを多く支払われる方だった
チップをいただくと、「え!す、少ない…Σ(゚Å゚)」という事もあれば、「え!こ、こんなに頂けるんですか?(゚ロ゚屮)屮」という事もあるので、毎日がとても刺激的でした(^ ^)
チップは全てサーバー(ウエイター/ウエイトレス)の物になるの?
自分の担当テーブルのお客様からいただいたチップは全て自分の収入になるのか?
結論から言いますと、お店によって異なります。
例えば、私の友人がロスで働いていた飲食店では、閉店後にサーバー全員でいただいたチップを出し合い、みんなで均等に分ける、という仕組みだったようです。
なので、個人の歩合制ではなくチームとしての歩合制ですね。
一方で私がラスベガス近くで働いていたカジノホテルでは、そのような分け合う仕組みはなかったので、基本的には自分で稼いだチップが自分の手元に残ります。
ただ、いただいたチップの2~3割をバッサーにお渡しするので、バッサーへの謝礼を引いた金額が私の収入でした。
バッサーとは、サーバーのサポート役の事です。1人のサーバーにつき1人バッサーがつき、バッサーはお客様のお皿を下げ、テーブルをセッティングするのが主な役割です。(プラスして、忙しい時は飲み物の注文も取ってくれました。)
バッサーがいい仕事をしてくれるかどうかで回転率が大きく変わるので、バッサーと信頼関係を築く上でも、謝礼をしっかりお支払いすることはとても大切でした。
なので、例えばお客様から100ドルのチップをいただいた日は、バッサーに30ドルを謝礼としてお支払いし、残りの70ドルが私の手元に残る、という仕組みです。
ちなみに、私が働いていたお店ではサーバーはバッサーへの謝礼のみでしたが、私の夫が以前に働いていたステーキハウス(高級店)では、サーバーはバッサーに加えてホスト&ホステスとバーテンダーにも謝礼を払う仕組みだったようです。
なので、ルールはお店によって様々です。
ホスト&ホステスと聞くと、お客様にお飲み物を出して接待するのが日本の一般的なイメージですが、アメリカでは店頭でお客様をお出迎えし、どのサーバーのテーブルにご案内するかを決める役割の方々の事を言います。
ホスト&ホステスが自分のテーブルにお客様をご案内してくれないと、サーバーは接客ができず、チップを稼ぐことができない為、ホスト&ホステスとコミュニケーションを取るのも大切な仕事でした。
日本で海外のお客様からチップを渡されたら、受け取るべき?
こちらも結論から言いますと、私は受け取る方がいいと思います。
なぜなら、チップってお客様からの気持ちなんです。
みなさんの接客が本当に素晴らしかったので、
「あなたのサービスはとても良かったわ。どうもありがとう」
という感謝の想いがチップなのです。
海外のお客様は、日本ではチップを払う必要がない事をご存じです。
それでも、みなさんに感謝の気持ちを伝えたいのです。
日本ではチップ文化がない分、受け取るのは申し訳ないと思うかもしれませんが、頑なに拒否するのではなく、頭を下げて「ありがとうございます。頂戴します」と言いながら受け取るのも、おもてなしの1つなのではないでしょうか。
少なくとも、受け取った方がお客様は喜ばれると思いますよ(^ ^)
チップをいただく際の接客英語
では最後に、お客様からチップをいただいた時の接客英語をご紹介します。
大抵の日本人は謙虚なので、いきなり「これチップよ。受け取って」と言われても、「いえいえ、チップは大丈夫ですよ」とまずはお断りされると思います。
その場合、英語ではこのように言います。
“You don’t have to do that.”
ユードンッ ハフトゥー ドゥーザッ
こちらが、「いえいえ、いいんですよ」という意味です。
ちょっと長いので、難しい方はこちらでもOKです↓
“You don’t have to.”
ユードンッ ハフトゥー
このようにお伝えしても、それでも「いいの、いいの。気持ちだから受け取って」と言われたのなら、その時は頭を下げながら両手で受け取り、
“Thank you very much. m(_ _)m”
と言いましょう。
この “Thank you very much.” にお礼の気持ちをしっかり込めてくださいね。
そうすることで、みなさんもお客様もとてもハッピーな気持ちになれますよ。
以上が、アメリカのウエイトレスのお給料事情でした☆
この記事がみなさんの何の役に立つのか?きっと何の役にも立ちません(笑)が、楽しんでいただけたのなら幸いです。
以上、今日のレッスンでした!
華ひらくは飲食店専門の接客英会話コンサルタントです。インバウンド(訪日外国人や訪日外国人旅行者)が増える中、外国人に対しての接客英会話は、広く求められております。当社の代表である内木美樹は、アメリカ・ネバダ州の国際ホテル「Peppermill Resort Hotel」内のレストランで、日本人が誰もいない環境の中、マネージャーから「No. 1 food server」と称された実績があります。
その知識と経験を活かし、飲食店の方々に出張型の英会話レッスンを行っております。飲食店に特化したレッスン内容になりますので、多くの飲食店様からご好評いただいております。レッスンは基礎レッスンから行いますので、英語がチンプンカンプンという初心者の方でも安心して受講してください。
商工会議所様等でご好評いただいている飲食店向けインバウンド接客セミナーはこちら
written by 内木 美樹(飲食店インバウンド専門家/飲食店専門の英語講師)